アルミニウム10の特徴
私たちが扱うアルミニウムは、多くの優れた特性を持つ金属です。アルミニウムの10の特徴をご紹介します。
軽い
アルミニウムの比重(密度)は20℃で2.7g/cm3で、鉄の7.8g/cm3、銅の8.9/cm3と比較して同じ体積での質量は約1/3です。この軽さを生かして、さまざまな部品や筐体・ボディなどを軽量化して製品の性能を向上させることが可能です。自動車や鉄道車両、航空機、船舶等の輸送機器分野では、高性能化・省エネルギー化を目的に使用されています。
高い耐食性
アルミニウムは大気中で酸素と結合して表面に緻密で安定な酸化被膜を形成します。この酸化被膜は水分を遮断するため優れた耐食性を示します。耐食性を高めたアルミニウム合金は建築、自動車、船舶等の海洋分野でも使用されています。ただし、何らかの影響で酸化被膜の一部が破壊されると腐食を生じてしまいます。このような場合にはアルマイトなどの表面処理を行うことで、より高い耐食性を付与することが可能です。
加工が容易
アルミニウムは塑性加工がしやすく、任意の形状に成形することが可能です。圧延では数μmのアルミニウム箔を、押出では複雑な断面を持つ形材形状を自由に設計することが可能です。
高強度、高靭性
純アルミニウムの強度は大きくありませんが、銅、マンガン、シリコン、マグネシウム、亜鉛などを添加して合金にしたり、塑性加工や熱処理を組合せることで強度を大きく向上させることが可能です。合金、質別によって引張強さは70~600MPa程度まで変えることができるため、用途によって適切な材料を選択できます。但し、剛性の指針である縦弾性係数(ヤング率)は、何れも鉄の1/3であるので、同じ力が作用すると鉄の3倍変形します。
高い電気伝導性
アルミニウムは導電材料としてとても経済的に優れた金属です。銅と比較した電気伝導率は約60%ですが、比重は1/3のため、同じ重量でおよそ2倍の電流を流すことが可能です。その特性を利用して、ほぼ全ての高電圧送電線に使用されています。今後、エネルギーやエレクトロニクスの分野での成長が期待されています。
高い熱伝導性
アルミニウムの熱伝導率は鉄の約3倍です。熱をよく伝える性質を利用して、素早く冷却することができるので、冷暖房設備、エンジン部品、各種熱交換器、飲料缶等でこの特性が利用されています。
リサイクル性に優れる
アルミニウムは融点が660℃で、鉄の1534℃、銅の1083℃よりも低く、この性質を利用して低温で溶解・再生することができるためスクラップの価値が高い金属です。再生地金は新地金と比較してわずか3%のエネルギーで製造可能であり、国内の飲料缶回収率は90%以上となっています。当社グループでは独自のアルミニウム缶再生システムを有しており、資源の有効利用、廃棄物の削減に貢献しています。
無害・無臭で衛生的
アルミニウムは無害・無臭で衛生的です。何らかの化学作用によってアルミニウムが溶出しあるいは化合物を形成したとしても重金属のように人体に影響したり、土壌をいためたりすることはありません。その性質を利用して、食品や医薬品の包装、飲料缶、医療機器、家庭用器物などで広く使用されます。
光や熱を反射する
表面をよく磨いたアルミニウムは、赤外線や紫外線などの光線、ラジオやレーダーから発せられる電磁波や各種熱線をよく反射します。この特性を生かして反射板、照明器具などで使用されます。
非磁性である
アルミニウムは非磁性体であり、磁場の影響を受けません。その他の特性と組合せて、計測機器や電子医療機器、メカトロ二クス機器、超伝導関連機器など用途が拡大しています。